平年比で大幅に遅れた梅の【満開期】ですが、
3月~4月の陽気傾向から、梅幼果が見えて以降
【順調】に生育しています。
梅は【生理落果】で、自ら着果調整を図りながら、
果実肥大を進めています。
4月下旬以降、着果過多園地では依然【生理落果】が
継続しています。
紀南地方では梅の荷受がスタートし、
当園も【収獲間近】を迎えています。
このタイミングで、多種にわたるデータ分析を基に
『本年産 梅作柄』の個人見解を、以下に綴ります。
壱. 産地情報【JA紀南発表 4/25】
JA紀南HPでは、
梅の『産地情報【4/25】』が情報公開されています。
【4/20】定点着果調査における管内全体の品種別の
作柄状況が提示されています。
当園で栽培してる品種の【着果率】は、
◆小梅 :39.3%【平年比 146%】
◆南高梅:13.9%【平年比 113%】
とあります。
生産量予想も出ており、
◆小梅 : 881t【前年 110%】
◆南高梅:20,813t【前年 118%】
と、着果量および生産量の両面から、
昨年比【豊作】/平年作柄【並】
の生産予想となっています。
※出典:JA紀南HP『産地情報』
弐. 園地別当園作柄状況
既に、2018年産の梅荷受がスタートしています。
昨年と比較して【平均4日早い】荷受開始日です。
当園も、以下の日程で出荷可能日を迎えます。
◆小梅【白王】:5/14~
◆カリカリ南高:5/17~
迫る梅収穫作業の【開戦】に備え、
梅小屋の【選場】準備を進めています。
当園では、独自に作柄予想を立てる上で
開花前より全園地に対象樹【対象枝】を設けて
花芽数を計測し、開花終了以降【園地巡回】して
【着果数測定】を定期的に実施しています。
梅収穫作業【目前】を意識して、
【立夏:5/10】に園地巡回を実施しました。
◆10段階表記の園地の作柄指数値
◆開花前の花芽数に対する着果数による着果率
以上2つの観点より園地別作柄状況を見出してます。
当園の品種別【平均着果率】も数値化しています。
平均数値は、
『【指数×植栽本数】の園地毎数値合計÷植栽本数』
にて算出しています。
立夏【5/10】時点の作柄指数は以下のとおりです
『小梅』:作柄指数:9.8 / 着果率:23.9%
◆当園の昨年生産量より【良好】⇒ 133% 予想
◆4月下旬の生産量予想比 ⇒ 119% 予想
◆生理落果【多】だが、果実肥大【良好】
⇒ 生産予想量【増大】
『小梅【白王】』:5/12 着果状況
『南高梅』:作柄指数:9.8 / 着果率:14.5%
◆園地により【豊凶】の幅が広い状況
◆JA紀南【4/25】着果率【13.9%】より良好
◆南高全園地の生産予想量⇒4月下旬予想【同量】
◆昨年より【間伐】実施により植栽本数【減少】
その状況下で南高園地生産量 ⇒ 101%【昨年並】
・三栖【幼成木園地】⇒ 4月下旬予想比【下降】
生理落果【多】/ 果実サイズ【小玉傾向】
・三栖【老木】⇒ 4月下旬予想比【同量or増量】
着果量は少ないモノの、
生理落果が少なくて、良好な果実肥大
・岩田地区⇒ 4月下旬予想比【大幅下降】
着果にバラツキが多い
一部箇所で、生理落果【極多】の影響
『カリカリ南高梅【園地】』:5/10 着果状況
⇒ 防除回数【減】による、かいよう病【発症】目立つ
『ミスなでしこⓇ』:
作柄指数:7.4 / 着果率:25.1%
◆全般的な着果状況【極多】
◆植栽樹【成木化】による【自然増】から、
⇒ 前年比 125% の予想量
◆【生理落果】が進むモノの果実肥大【鈍化傾向】
・着果【少】系統 : 良好な果実サイズ
⇒ 4月下旬予想比【増量】
・着果【多】系統 : 例年より【大幅小玉傾向】
⇒ 4月下旬予想比【下降】
◆基本、着果【多】系統の植栽が多いため、
果実肥大状況に応じて、生産量が大幅影響する
今後の【果実肥大】の状況把握が必須な状況
『ミスなでしこⓇ』:5/10 着果状況
産. 柑橘満開期からのピーク予想
柑橘の開花満開期は、
【こどもの日:節句】頃に迎えます
2018年の柑橘満開期が【4月末】頃と、
約1週間程度【前進】して迎えています
先輩農家の『梅収穫ピーク期』予想手段として、
【柑橘満開時期】を基に考えていることを踏まえ、
データ的に検証してみました
◆ 2017年柑橘満開期【5/5頃】
⇒ 南高梅完熟落果ピーク日【6/20】
◆ 2016年柑橘満開期【4月末頃】
⇒ 南高梅完熟落果ピーク日【6/13頃】
◆ 2018年柑橘満開期【4月末頃】
⇒ 2016年の【ピーク日】に近いと予想
満開期からの【積算平均気温値】比較から、
【4~6日前進】と予想しています
柑橘満開期予想は、確証性が高いと感じてます
四. 生育状況予想【収獲間近】
生育状況は、昨年同時期と比較して、
3月~4月期は、陽気な気候が続いたため
【大幅前進:約1週間】している状況でした
当園の三栖地区【主力園地】における園地確認では
満開期【2/26】/ガク落ち【3/24】/
生理落果【5/1】頃と見ています
5月期に入り、まとまった【降雨】に伴い
昨年より低温な日が続いている様に感じています。
満開日から対象日期間の【積算平均気温値】より
生育状況を【数値比較】できないか検証しています
5/13 時点の積算平均気温値は、
昨年比【86.7℃】前進している状況です
◆ 2017年:1,020.4℃
◆ 2018年:1,107.1℃
5月の平均気温値を【19℃】と仮定時、
『5日程度』前進している結果となります
⇒ 4月【ガク落ち期】予想より、【1日後退】
伍. 着果率推移表【収獲間近】
当園南高梅は、園地若返り対策【幼成木率:62%】の
影響が大きく作柄に反映しています
2017年産【凶作】も、まずまずの生産量でした
JA紀南の産地情報【4/25】の着果率【13.9%】より
当園南高園地平均値【14.5%】は良好です
作柄の【豊凶】が少ないのも、
日頃の園地育成の効果だと考えています
好調な【作柄】を充分に活かして、
出荷方針を見出し、収益確保に努めています
開花前に全園地に測定対象枝を設定し測定しています
【生理落果】継続中の園地もありますが、
【収獲間近】を迎えた為、着果数データを測定し
データから『着果率推移グラフ』を作成しています
◆南高梅 ⇒ 着果率の幅が広い
【幼成木園地:老木園地】=2:1 程度の状況
◆ミスなでしこⓇ ⇒ 南高梅【良好】園地の1.5倍
着果過多気味のため、果実肥大に影響が出ている
5月以降、定期的にまとまった降雨がある為、
着果過多樹の【果実肥大】を期待している状況です
『南高梅』過去5カ年の着果率推移の比較グラフです
2018年の着果率推移としては、
H27年【2015年】の着果率推移に酷似しています
当園南高梅の作柄指数は、
一部園地の間伐実施で、植栽樹【減】の状況下から
2017年産【着果量:良好/果実:小玉傾向 】と
【同生産量】と予想しています。
2018年産の【着果過多樹】の果実肥大状況が、
本年生産量に大きく影響する感じです
現時点では、
激しい【生理落果】園地もありますが、
安定した降雨もあり、希望が持てる作柄予想です
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